あなたの将来は大丈夫?
住宅を借りようとしたら大家さんから入居を断られる。
高齢者の賃貸住宅入居に大家さんの60%が拒否感を持っているとニュースが出ています。
マンションの管理会社などで作る日本賃貸住宅管理協会が、賃貸住宅の大家の意識を把握するため、去年12月からことし2月にかけて、加盟する管理会社を通じて全国の大家36万人余りを対象に行いました。
それによりますと、「高齢者の入居に拒否感がある」が60.6%で、調査を始めた平成22年度以降、徐々に増え最も高くなりました。また、1人暮らしの高齢者の入居を制限をしていると答えた大家は全体の14.2%、高齢者のみの世帯の入居を制限している大家は13.4%でした。
超高齢化社会を迎える日本にとって、これは大きな問題となっていくのではないでしょうか。
大家はなぜ高齢者の入居を拒否するのか
簡単に言えば高齢者に賃貸住宅を貸し付けるとリスクが大きいことが理由となっています。
上記ニュースで入居制限をしている大家は「家賃支払いに対する不安」「屋内での死亡事故の不安」を理由としています。
家賃収入に対する不安
一般的な会社は再雇用されても65歳で定年退職となります。そのため、高齢者の主な収入は年金となり、厚生年金の平均月額は14万程度ですので、決して十分な収入とは言えません。
貯蓄がある世帯であれば心配はないですが、高齢者は病気や障害をもつ可能性が高く予想外の支出が見込まれます。
そういった理由から大家は家賃収入に対する不安を大きな理由としているのでしょう。
屋内での死亡事故の不安
身寄りがない老人や、地域社会とのつながりがない老人には孤独死のリスクがあります。
また、高齢者は普段の生活の中でも命を落とすリスクがあります。
例えば、飲食物を喉に詰まらせたり、物に躓いて動けなくなったり、心筋梗塞など急病におそわれたりなどです。
特に独身の世帯では助けを呼ぶことができず、そのまま孤独死となるケースが非常に多いです。
※国の調査では2013年東京23区で孤独死した人は2733人とのことです。
孤独死した場合、発見が遅くなることが多く、遺体はドロドロに腐敗し、虫が大量発生、異臭など、その処理だけでなく、言い方を変えれば事故物件となり不動産の価値を大きく下げます。
また、家族が保証人となっていれば損害賠償を求められる事例も出てくる可能性もあります。
大家からすれば独身の高齢者に家を貸すことはリスクでしかないのでしょう。
入居拒否を防ぐためのリスクヘッジ
やはり、持ち家があることが一番のリスクヘッジでしょう。ローンを完済してしまえば資産となるわけですから。
または、家族を持つこと。
最後、自分の面倒を見てくれるのは家族しかないと思います
高齢者の賃貸住宅入居拒否問題の本質
高齢者の賃貸住宅入居拒否問題が加速すれば、ますます住むところの得られない人が増えていきます。
そうすれば国がそういった人の生活を保障するために社会保障費が増大していくことでしょう。
社会保障費が増大すれば、その負担は働き手の世代にのしかかります。
更に、日本は少子化。
増える社会保障に対し、その源泉となる税金を納める人口が減れば個々の負担が増えることは間違いないでしょう。
あなたも他人事ではない
今賃貸で生活しているあなたも将来入居を拒否される可能性もありえます。
また、最近では結婚しない人が男性で4人に1、女性で7人で1人と言われます。
独身で高齢を迎えたときに持ち家がなければ、住む家が無くなる可能性があるということです。
お金があれば大丈夫じゃない?
と思うかもしれませんが、大家にとっては、いくら家賃を支払ってもらっても室内で死亡事故が起こることのほうがリスクです。
住宅の供給過剰時代でどう変わるか
今、少子高齢化に向かっているにも関わらず、タワーマンション・アパートの建設ラッシュが起こっています。
それらは10年もすれば、供給過剰となり空き家が目立つようになるでしょう。
そうすれば、大家は貸したくても借りる人がいないということになります。都心に近い、駅に近いところは良いでしょう。条件が悪い地域は空き家が目立ってきます。
賃借人がいなければ大家の投資計画は狂って、場合によっては破産する人も出てくるでしょう。
そういった時に高齢者の入居を拒否できるのでしょうか。
選択が迫られる時期がそこまで来ています。
高齢者の賃貸住宅入居拒否問題、解決策は?
個人的には地域コミュニティを強くすることだと思います。
町内会のようなものですね。
地域に住む人それぞれが結びつきを密にすることによって、各家庭の社会的な孤立を無くしていくこと。
それが、住宅を貸す側と借りる側の軋轢を減らしてくれるんじゃないかと思います。
では!!